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【8月17日付編集日記】栄養

08/17 07:10

 現在では栄養不足で病気になるというのはまれだが、大正期まではビタミン不足によるかっけが、国民病として恐れられた。徳川十五代将軍のうち、家治、家定、家茂の3人がこの病で亡くなっている。江戸から地方に行くと快癒したため、江戸わずらいといわれた

 ▼原因は江戸時代に都市部で広まった白米中心の食習慣で、玄米や豚肉などに含まれるビタミンB1が十分に摂取できていなかったこと。地方はまだ玄米が中心だったため、不足していたB1が補えたという

 ▼この病気で気を付けなければならないのは、暑さで悪化する傾向があること。10代家治は旧暦8月のまだ暑い盛りに足がむくんで立つことができなくなり、そのまま死去した(篠田達明「徳川将軍家十五代のカルテ」新潮新書)

 ▼大分県内の公立小中学校の給食が、国の定めた基準以下のカロリーで提供されていたという。物価高騰の影響で、必要な栄養価を満たす食材をそろえるのが難しかったためとみられる

 ▼間もなく2学期がスタートする。給食で栄養が足りないとなれば「学校わずらい」ということにもなりかねない。まだ暑い日が続く。家庭でも学校でも、子どもが十分な栄養を取れるようにしてあげたい。


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