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田部井淳子さん、映画に 吉永小百合さん主演、25年秋公開予定

08/22 07:30

1975年、エベレストに女性として世界で初めて登頂した田部井淳子さん(女子登攀クラブ提供)
吉永小百合さん(撮影 三浦憲治)

 世界最高峰エベレスト(8848メートル)に、女性として世界で初めて登頂に成功した登山家の故田部井淳子さん(三春町出身)の生涯をモデルにした映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」が製作される。主演を俳優吉永小百合さん(79)が務め、阪本順治監督(65)とのタッグで、挑戦し続けた田部井さんの生涯を描く。田部井さんのエベレスト登頂から50年の節目となる2025年秋に公開予定。

 田部井さんは「女子だけで海外遠征を」を合言葉に1969年に女子登攀(とうはん)クラブを設立した。35歳でエベレストに登頂した後も海外の山に挑み、92年に女性で世界初の7大陸最高峰登頂の偉業を果たした。生涯で70カ国以上の最高峰・最高地点を制覇。晩年は病と闘いながら、亡くなる直前まで山に挑み、2016年に77歳でこの世を去った。

 映画では実話を基に、エベレスト登頂から、余命宣告を受けながらも山へ挑戦し続けた田部井さんの人生を描く。18日にクランクインし、11月末の撮影終了を予定している。

 阪本監督はデビュー作「どついたるねん」でブルーリボン賞作品賞など数多くの映画賞を受賞。吉永さんとのタッグは「北のカナリアたち」(12年公開)以来、13年ぶり。「吉永小百合さんと再びご一緒できることの喜び。しかも、田部井淳子さんの人生を基にした山と家族の物語。みんなで頑張ります」と意気込みを語っている。

 田部井さんの長男で、東北の高校生の富士登山プロジェクトリーダーを務める進也さん(46)は「母は生前、吉永さんと仕事を一緒にさせていただき、また亡くなったとき供花を頂きました。阪本監督は今年、富士山山頂で高校生を迎えていただきました」と感謝した上で「映画を通じ、母のような女性がいたことを知っていただけたら幸いです」とコメントした。

 映画は木下グループの企画・製作、キノフィルムズの配給。原案は田部井さんの著書「人生、山あり”時々”谷あり」(潮出版社)。

          ◇

 田部井淳子さんは2015年、功績のあった個人・団体を顕彰する福島民友新聞社の「第25回みんゆう県民大賞」のふるさと賞を受賞した。09年には福島民友新聞連載「人生 春夏秋冬 私の道」を執筆した。

 「世界の淳子役を全力で」

 124本目の映画出演となる吉永さんは田部井さんをモデルにした女性登山家「多部純子」役を演じる。2012年に田部井さんと対談した経験があり「明るくて、楽しいお話をいっぱい聞かせてくださいました。阪本監督のもと、『世界の淳子』役に全力で挑戦します」とコメントした。

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