• X
  • facebook
  • line

繊細で優美「エッグアート」 南相馬の75歳、制作歴20年 いまも情熱

08/28 09:15

使う卵はニワトリやウズラ、ガチョウなどさまざま。製図した後、カッターで慎重に殻を切り、装飾を施す
ショーケースを前に「『これどうやって作っているの』と聞かれるのがうれしいの」と話す横山さん

 ショーケースの中に、きらびやかな作品が並ぶ。南相馬市原町区の横山香代子さん(75)は、卵の殻を使った作品「エッグアート」作りに熱中している。横山さんは「繊細な作業こそやりがい。『これどうやって作っているの』と聞かれるのがうれしいの」と笑顔で話す。

 横山さんによると、エッグアートは皇帝への贈り物として、ロマノフ王朝時代のロシアから欧米に広まり、徐々に豪華な装飾が施されるようになっていたという。

 飾り付けは楽しく

 使う卵は、ニワトリやウズラ、ガチョウなどさまざま。作品作りは、画びょうやキリを使い、卵に穴を開けて始まる。中身を取り出したら、殻に鉛筆で製図し、歯科医が使うような特殊なカッターで慎重に殻を切る。化粧品販売代行店の店長でもある横山さんは、ビーズやシールのほか、化粧品の空き箱なども再利用し、飾り付ける。卵の中身はオムレツなどでいただくという。

 横山さんがエッグアートを始めたのは、20年ほど前。当時、ハーブ教室で講師を務め、卵を使った作品も教えていたこともあり、大熊町のダチョウ牧場から「ダチョウの殻を利用してほしい」とのお願いを受けた。そこで、エッグアートの本を見てみると「なんてきらびやかなの」と、とりこになった。東京都の教室に通い技術を習得し、県内外のカルチャー教室や、浪江町のアトリエなどでエッグアートを広めてきた。

 好奇心の赴くまま

 東京電力福島第1原発事故による避難で、作品作りが難しい時間もあったが、今もカルチャー教室に材料を提供するなど、作品作りを満喫する。「今度は、ウクライナのエッグアート『ピサンキ』に挑戦したい」。好奇心の赴くまま趣味を楽しみ続ける。(佐藤健太)

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line