18歳以下の若者が企業の抱える課題の解決策を考えるプログラム「Corp Touch(コープタッチ)」が8月、いわき市で行われた。福島民友新聞社などの共催による県内初の取り組みで、中高生らが企業の担当者と意見交換しながらアイデアを導き出した。
コープタッチは、教育事業を手がけるアンパックド社が開発した企業と社会課題の解決に関心がある中高生を結び付けたプログラムで、東京や大阪などで行われてきた。企業にとっては18歳以下に響く商品やサービスの開発に向けた提言を得る場、若者には社会人と対等な立場で企画立案に取り組む機会になると評価されている。
今回のコープタッチには、地元企業5社と県内外の中高生約30人が参加した。企業からは「未来の携帯電話と発電技術はどうなっているか」などの課題が出された。提言は1時間超の議論を通じてまとめられるが、主役は中高生のため自然と若手世代の発言が増えていった。終了後には「意見を集約する過程が面白かった」など、充実感を示す反応があった。
学校では職業意識を高めるキャリア教育が行われているが、職場の見学にとどまるなど、生徒にとって受け身の内容になっていないだろうか。学校現場には、生徒が課題解決の意見を持つ社会の一員として企業に関わり、学んでいくような取り組みの導入を通じて、一人一人が主体性を持ち進路を切り開く力を伸ばしてもらいたい。
ある企業は、将来求める業種について聞いた。生徒らは「やりたいことを就職までに決めるのが難しい」として、複数の業務をこなす中小企業の実情を踏まえ、入社後に社内で自分に合う仕事を探していく働き方を提言した。複数の企業担当者からは、自分たちが当たり前と考えていた概念にとらわれない発想に触れたこと自体が刺激だったとの感想が寄せられた。
人口減少が進む中で企業活動を存続させていくためには、将来の働き手の中核となる若者の職業観やアイデアの導き出し方などを知り、組織を改編していくことが欠かせない。各企業は、優秀な人材との出会いの場とも捉え、中高生の意見を聞く機会を積極的に設けていくことが求められる。
コープタッチは中高生を対象にした企画だが、イベントの進行や企業と生徒の円滑な議論を支援するファシリテーターを高校生や大学生が担っている。若者の成長を促すためには、学校や地域が、社会参加に熱意のある学生に早い段階からリーダーとして活躍してもらう機会をつくることも重要だ。