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【9月6日付編集日記】熱と水素

09/06 08:00

 宇宙に最も多く存在する元素は水素。宇宙が生まれたばかりの頃には、高温により水素原子の核である陽子と、電子がばらばらに飛び回っていた。自由に動く電子は光の進む方向を変える働きがある。霧の中で、光が水の粒に反射して視界が悪くなるのに似た状況だったようだ

 ▼光が真っすぐに進むようになったのは、しばらくたってのこと。宇宙の温度が下がり、陽子と電子が結合。動き回る電子が減ったことで、直進を妨げられにくくなった(須藤靖「宇宙する頭脳」朝日新書)

 ▼それから138億年後の現代。水素は、半導体製造に欠かせぬ存在となっている。半導体製造に使用する石英ガラス製品を作るには、高温加工が必要なため、水素で出力を高めたバーナーを使う

 ▼会津若松市で石英ガラスの加工を行っている企業が、会津地方で初めて水素燃料で走るトラックを導入した。社員提案をきっかけに、水素社会構築への貢献として運用を決めた

 ▼ただ会津には水素ステーションがないため、中通りで燃料を補充しているそうだ。環境の整備が進まなければ、なかなか普及は望めまい。こちらの方は、新エネルギーへの熱い期待を冷まさぬようにすることで視界を開いていきたい。 

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