• X
  • facebook
  • line

【9月30日付編集日記】こんにゃく騒動

09/30 08:00

 江戸末期、現在の東白川郡でたいまつなどをかざした200人余りの農民が、村役人の名主の家を打ち壊した。首謀者ら58人は現場に駆け付けた代官所の役人に捕まり、投獄される事態となった

 ▼現地は水戸藩から伝わった、コンニャク芋の栽培が盛ん。生産された芋は良質で全て水戸に納められたが、販売方法を巡り、利権を得ようとした名主と、収入減を恐れた農民が対立したことが発端だ。「こんにゃく騒動」として記録が残る

 ▼コンニャク芋を食用として栽培しているのは、日本と中国の一部。しかし、最近は消費量の低迷で芋の価格が下落したことに加え、物価高による生産コストの上昇で栽培をやめる農家が増えているという

 ▼そんな苦境にあえぐ業界に、朗報が届いた。日本こんにゃく協会によると、昨年度の加工品の輸出額が14億円と過去最高を記録した。製品の6割超がこんにゃく麺で、パスタの代替品として海外の消費者に受け入れられているようだ

 ▼健康食品として認知度が高まっており、日本食ブームも追い風に輸出量はさらに拡大する見込みという。東白川などの名産「刺し身こんにゃく」の引き合いも期待できる。農家の生産意欲が高まる騒動になってほしい。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line