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芸術で能登に癒やしを 福島西高生有志、作品集贈り現地で交流へ

10/05 09:30

能登地方を支援するプロジェクトの中心として活動する(左から)新沢さん、斉藤さん、岸波さん、蓬田さん、菅野さん

 アートの力で被災地を元気づけたい―。福島西高デザイン科学科の生徒らが、元日の地震や9月の記録的豪雨で甚大な被害を受けた石川県能登地方を支援するプロジェクトに乗り出した。制作した力作をデータ化して作品集にまとめた上で、現地に赴いて地元住民に贈り、直接交流する考えだ。東日本大震災で受けた支援への感謝も込めており、生徒らは「作品を見て癒やされてほしい」と心を寄せる。

 プロジェクトに携わるのは、同校デザイン科学科の1~3年生有志と卒業生計38人。ビジュアルデザインコースの2年生が中心となり、創作に取り組んできた。きっかけはコースを担当する番匠あつみ教諭の呼びかけだったが、震災を経験した生徒らは「被災地のために自分たちができることで支援したい」と賛同した。

 作品は2~3カ月かけて制作。油絵や水彩、CGなどを駆使し、ポップなキャラクターやおいしそうな食べ物を描いた約40点が集まった。生徒らは、自分たちが作りたい作品ではなく、絵を見た人がどんな気持ちになるかを考えながら取り組んだ。「作品を見た一瞬だけでも暗い気持ちを忘れられるように」。傷を負った能登地方の人々に思いをはせながら、日々作品づくりに向き合った。

 出来上がった作品は文化祭やPTA総会などで展示され、好評を得た。今月18日までは、福島市の福島銀行本店に並べられている。

 能登地方に向かうのは、2年コース長の菅野美優さん(16)、副コース長の新沢彩葉(いろは)さん(16)、斉藤莉樹(りじゅ)さん(17)、岸波楓さん(16)、蓬田有香さん(17)の5人。番匠教諭が引率する。12月中旬を予定しており、現地では輪島市の高校生との交流や仮設住宅の訪問などで作品集50冊ほどを贈る。

 菅野さんは「地震のニュースを見て、とても現実とは思えなかった。芸術やデザインを通して、ほっとしてもらいたい」と思いやる。

 一行は出発前に双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館を訪れ、改めて震災への理解を深めてから能登地方に向かう予定だ。(多勢ひかる)

 プロジェクト費用募る

 能登地方を応援するプロジェクトでは、現地への交通費や作品集の印刷費などの資金を集めるため、インターネット上で資金調達を図るクラウドファンディング(CF)で寄付を募っている。31日まで。

 目標額は50万円。返礼品には800~1万円の金額に応じて報告書や作品のポストカード、お礼のメッセージなどを用意している。CF業者の「CAMPFIRE(キャンプファイア)」とパートナー契約を結ぶ福島銀行が支援した。

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