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【10月7日付編集日記】塗り重ね

10/07 08:00

 会津漆器は漆を塗り重ねることで、独特の風合いが生まれる。最初は下塗り。木工品に黒漆を塗って丁寧に磨く。そこにもう一度、黒漆を重ねて塗る。これが中塗り

 ▼その後の上塗りでは、黒や朱、あるいは木目を生かすための透漆などを塗る。会津漆器の場合は、上塗りで油分を抜いた漆を使い、仕上げの磨きを行わない花塗りが主流。漆本来の柔らかな感じが出て、器に描く絵もより映えるのだという

 ▼かつて食べた味を求め、小さなラーメン店を再訪した女性と、その店を継いだ男性を軸に親子愛を描いた映画「日めくりの味」が公開された。作品の舞台は会津。撮影も会津を中心に行われた

 ▼メガホンを取ったのは、俳優の松崎巌夫さん、脚本を担当したのは鹿目由紀さん。いずれも会津若松市出身だけあって、さすがに地元をよく知っているな―と、うならされる場面や方言混じりのせりふが、そこかしこにちりばめられている

 ▼ダブル主演の虎牙光揮(こがみつき)さんと風詩(ふうた)さんも同市出身というから、その徹底ぶりに驚かされる。地元への愛を重ね合わせたことで、会津漆器のような柔らかい雰囲気の作品に仕上がっている。見た後には会津をゆっくりと歩いてみたくなること請け合いだ。

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