より多くの民意を国政に反映させるため、期日前投票や不在者投票などを活用することが大切だ。
県選管によると、衆院選の投票日の7日前となる20日現在、県内で期日前投票を行った有権者数は10万6243人だった。2021年の前回の同時期に比べ1393人増えた。不在者投票の用紙は8678枚交付された。
区割りの改定で本県は4小選挙区となった。候補者の政見や人柄が分からないという有権者もおり、関心の低下が懸念されている。さらに裏金事件などによって政治不信は深刻さを増している。
政治離れに拍車をかけかねない材料がある中で、期日前投票者数が前回より増えた。棄権せず権利を行使した10万人超の有権者に、投票の重要性を訴える選挙関係者は頭の下がる思いだろう。
全国の有権者を対象にした明るい選挙推進協会(明推協)の調査で、前回棄権した理由は「仕事」が約20%に上った。仕事以外の「重要な用事」は約10%だった。
1票を投じる意思がありながら、忙しくて行けなかったということは避けたい。27日に投票する予定の有権者は、当日の行動をよく考える必要がある。
無理をしないと投票できなさそうな場合は、期日前投票をしてほしい。予定の実行性を高めるために「何日の何時に、どこから投票所に行く」と、事前に具体的な計画を決めることがお勧めだ。
投票する日の行動を確認してもらうなど前述の提案は、より良い選択を自発的に促す行動科学「ナッジ」を参考にしたものだ。大阪大の佐々木周作特任准教授によると、米国の研究では、有権者に謝意を伝えたり、当日の行動を具体的に尋ねたりすることで投票率が上がることが確認されている。
特に課題となっている若者の投票率の向上について、佐々木氏は「投票未経験の人らにとって有益な情報を届けることが大切ではないか」と指摘する。
例えば普段買い物をしない人には、卵1パック300円が安いか高いかよく分からない。売り場での他の人の行動が、卵を買うかどうかの判断材料の一つとなる。
選挙も周囲の行動に影響されるという。ただ買い物と違い、他の人が投票に行ったかどうかは分かりにくい。政治に詳しくなく不安という若者の場合、同世代の投票に関する情報が安心して投票所に足を運ぶ判断材料になり得る。
どう有権者の行動を後押しし、投票につなげるか。各選管や明推協などには、呼びかけ方などに工夫を凝らすことが求められる。