自民党の派閥裏金事件を受け、政治改革が最大の争点になっている。各党、各候補者は不正を根絶する仕組み構築への本気度が問われていることを認識すべきだ。
6月の通常国会で成立した改正政治資金規正法はパーティー券購入者の公開基準額を5万円超に引き下げ、関係政治団体の収支報告書のオンライン提出の義務化などを規定した。しかし「抜け穴だらけ」との批判は根強い。
今回、与野党間の論戦の中心となっているのは、使途公開が不要の政策活動費の扱いだ。野党各党が廃止を訴えるなか、自民は「将来的な廃止を念頭に透明性を確保する」との言及にとどめている。
連立政権を組む公明党も廃止を掲げている。自民は政治資金を監査する第三者機関の設置を公約に盛り込んでいるが、「政治とカネ」の問題の根絶のための取り組みとしては踏み込み不足の印象が拭えない。政権与党として廃止に向けた具体的な道筋を示し、有権者に説明してほしい。
多くの野党が企業・団体献金の禁止、政治資金パーティーの禁止や規制強化を訴えている。税金を原資にした年間300億円超の政党交付金を受け取っている以上、政策決定への影響が指摘される企業・団体献金やパーティー開催は見直しが避けられない状況だ。
30年前の政治改革で創設された政党交付金制度は、企業・団体献金の禁止を前提としたものだったことを踏まえ、各党は議論を深める必要がある。
国会議員に月額100万円支給されている「調査研究広報滞在費」(旧文通費)の改革も待ったなしだ。先の通常国会では、自民と日本維新の会との間で、使途公開と未使用分の国庫返納を義務付ける法改正に合意していたが、自民が国会日程などを理由に見送った。
今回の選挙公約には自民も使途公開や未使用分の国庫返納を盛り込んでおり、与野党の方向性はほぼ一致している。与野党ともに公約をほごにしてはならない。
「政治とカネ」のほかにも、女性や若者の政治参画の遅れ、世襲議員の増加など課題は多い。自民や公明は党の国会議員の女性割合30%を目指すことを唱え、共産党や、国民民主党は一定割合の女性候補の擁立を義務付けるクオータ制の導入を目指すとしている。立憲民主党は国会議員の政治資金の世襲制限、維新は一院制も視野に議員定数の大幅削減を打ち出す。
いずれも議論に十分値するものだ。各党は覚悟を持って改革を前に進め、国会の活性化、議員の資質向上につなげる責務がある。