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水を張らずにコメ収穫 手間とコスト低減、実入りは「十分」

2025/10/27 08:50

節水型乾田直播栽培で育てた稲を収穫する佐藤さん=鏡石町

 鏡石町のコメ農家佐藤幸一郎さん(78)は同町桜岡地区の田んぼで水を張らずに育てた稲を収穫した。今年初めて取り入れた農法で、佐藤さんは「実入りは十分。初めてにしては成功に近いと思う」と手応えを語った。

 佐藤さんが挑んだ農法は「節水型乾田(かんでん)直播(ちょくは)栽培」。作付けに際し、田んぼを耕した後、乾いた土に直接、稲の種子をまく。苗作りや田んぼの代かき、水張り、田植えといった初期作業が不要で、従来より少量の水でコメ作りができるのが特長だ。手間とコストが抑えられるため、国が補助金を設けて普及を支援している一方、収量の不安定さや雑草対策などの課題がある。

 佐藤さんが副理事長を務める矢吹原土地改良区は羽鳥ダム(羽鳥湖、天栄村)を管理。羽鳥ダムは近年の猛暑で渇水になりやすい傾向にあるため、コメ作りの水不足問題を解消しようと、佐藤さんと組合員15人がこの農法に挑戦した。

 佐藤さんは約40アールの田んぼに実った稲をコンバインで刈り取った。水稲耕作と比べて丈はやや低く、穂の数が少ないという。佐藤さんは「収量は7割程度だった。思ったよりも稲が成長し、収穫することができた」と喜んだ。今後は実績報告会を開く予定で「県内にも普及できるよう技術の確立を図りたい」と意気込む。

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