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災害時にも活躍する携帯発電機やポータブル電源の事故と 停電復旧後の通電火災に注意!

08/27 14:00

  • 独立行政法人製品評価技術基盤機構
図1_CO一酸化炭素中毒(new)
図4_1_通電火災
図4-2_通電火災
ポータブル電源
図5_1_浸水した家電製品から発火
図2_2_携帯発電機_「室内で携帯発電機を使用して一酸化炭素中毒」
図2_1_携帯発電機_「室内で携帯発電機を使用して一酸化炭素中毒」
CO濃度の変化
図5_2_浸水した家電製品から発火
表1
図4
 9月1日は防災の日。自然災害による停電の際にも使用される携帯発電機やポータブル電源において、製品起因の事故以外に誤使用が原因の事故も発生しています。また、停電復旧後の通電や被災で損傷した電気製品の使用が、火災の原因となることもあるため注意が必要です。今般、改めて事故を防ぐための対策をお伝えします。

1 概要
 キャンプなどで重宝される携帯発電機やポータブル電源ですが、自然災害に伴う停電に備え、非常用電源として用意する方もいるかと思います。しかし、いざ自然災害が発生したときに使用方法を誤ると、一酸化炭素(CO)中毒や火災等の事故につながる可能性があります。
 また、自然災害による停電の復旧後、地震や大雨等の影響を受けて損傷した電気製品を使用したり、電熱器具が周囲の可燃物に接触していたりすることで、発火する可能性があります。
 これらの事故を防ぐための注意点を知り、製品の使用時に対策をとりましょう。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265353-O9-4Hu6uO1v

2 携帯発電機及びポータブル電源での事故について
(1) 携帯発電機の事故
ア 携帯発電機とは
 発電機は、ガソリン、軽油、ガス(カセットボンベ)などの燃料を使ってエンジンを稼働させ、装置内のコイルや磁石を回転させることで電気を発生させる装置です。
持ち運びが可能な発電機を携帯発電機といい、可搬型発電機、小型発電 機、ポータブル発電機などという場合もあります。
イ 使用時の注意点
 携帯発電機の使用による死亡事故も報告されています。以下の注意点に従って、安全に使用してください。
【携帯発電機使用時の注意点】
・ 屋内では絶対に使用しないでください。発電機運転中の排ガスには一酸化炭素(CO)が含まれており、屋内で使用すると一酸化炭素(CO)中毒になるおそれがあります。
・ 屋外であっても、自動車内やテント内で使用すると屋内と同等の危険性があります。排ガスが逆流しないように出入口、窓などの開口部から離れたところ、かつ、風通しの良いところで使用してください。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265353-O7-iLSo0Jds
       図2 室内で携帯発電機を使用した際の一酸化炭素(CO)濃度の変化

              表1 一酸化炭素(CO)中毒の症状
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265353-O10-S3r5Mdc6
  出典:経済産業省ウェブサイト
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/citygas/kouhou/insyokuten.pdf

(参考) 携帯発電機の事故事例
①   事故発生年月日 2018年9月8日(北海道、50歳代・男性、死亡)
 ※北海道胆振東部地震発生後事故
【事故の内容】
 一酸化炭素中毒により1名が死亡し、現場に家庭用の携帯発電機があった。
【事故の原因】
 取扱説明書には、「排ガス中毒のおそれがあるため、排ガスがこもる場所で使用しない。排ガスは一酸化炭素などの有害成分を含んでいる。」旨、記載されていたにもかかわらず、停電時に携帯発電機を換気の不十分な屋内で使用したため、排ガスが滞留し、一酸化炭素濃度が上昇して事故に至ったものと考えられる。

②   事故発生年月日 2020年9月7日(鹿児島県、1名死亡、2名重症)
 ※令和2年台風10号発生後事故
【事故の内容】
 一酸化炭素中毒で1名が死亡、2名が重症を負い、現場に家庭用の携帯発電機があった。
【事故の原因】
 当該製品に異常は認められず、換気が十分に行えない屋内で使用したため、排ガスにより屋内の一酸化炭素濃度が上昇し、一酸化炭素中毒になったものと推定される。なお、本体及び取扱説明書には、「排ガス中毒のおそれあり。」、「屋内など換気の悪い場所で使用しない。」旨、記載されている。

(2)ポータブル電源の事故
ア ポータブル電源とは
 リチウムイオン電池などの充電式電池を内蔵した大容量かつ可搬型の蓄電装置で、交流100V出力に対応するなどしたものがいわゆるポータブル電源と呼ばれています。
イ 使用時の注意点
 蓄電池にリチウムイオン電池を使用しているポータブル電源は、モバイルバッテリーと同様の注意が必要と考えられます。一般的に総エネルギー量が大きい製品は、事故発生時の発熱量も大きくなるため、大容量のポータブル電源はより注意が必要です。
以下の注意点に従って、安全に使用してください。
【ポータブル電源使用時の注意点】
・ 落としたりするなど衝撃を与えないようにしてください。もし、強い衝撃を与えてしまった後、発熱、変形などの異常を感じた場合は、使用を中止して製造・輸入・販売事業者の修理窓口に相談してください。
・ 高温環境下での使用は控えてください。また、長期間使用しない場合は、箱に入れて直射日光が当たらない冷暗所に保管しましょう。
・ 屋外では、防水・防塵性能を有する製品の使用を検討しましょう。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265353-O3-7P4f66LY
                  図3 ポータブル電源の例

(参考) ポータブル電源の事故事例
①   事故発生年月日 2022年3月27日(宮城県、拡大被害)
【事故の内容】
 ネット通販で購入したポータブル電源を充電中、ポータブル電源付近から異音がして出火し、周辺を焼損した。
【事故の原因】
 焼損が著しく、詳細な使用状況等が不明であり、原因の特定には至らなかったが、当該製品は屋外に置かれていた。風雨があたらないよう別途用意した樹脂製ケースで覆われていたが、覆いが不十分な状態であったため、雨水等が浸入して短絡が生じ、内蔵のリチウムイオン電池セルが異常発熱して出火した可能性が考えられる。

②   事故発生年月日 2022年8月5日(東京都、拡大被害)
【事故の内容】
 車両内で当該製品及び周辺を焼損する火災が発生した。
【事故の原因】
 焼損が著しく、製品起因か否かを含め、事故原因の特定には至らなかったが、当該製品は卸売市場での夜間業務の照明機器用電源として、週3回、屋根のない屋外で使用されていたため、内蔵のリチウムイオン電池セルが異常発熱して出火した可能性が考えられる。
    
携帯発電機やポータブル電源の中にはリコール品もあります。使用前には、メーカーからのお知らせやリコール情報を確認するようにしましょう。
【参考:リコール検索サイト】
○消費者庁リコール情報サイト(https://www.recall.caa.go.jp/
○(独)製品評価技術基盤機構NITE SAFE-Lite (https://safe-lite.nite.go.jp/

3 停電復旧後の通電火災について
(1)通電火災とは
 自然災害に伴う停電の復旧後、可燃物が接触した状態の電熱器具や水没したり部品が破損したりした電気製品に電気が流されることに伴い発生する火災のことをいいます。
(2)通電火災の注意点
 地震や大雨等に伴い、自宅に置いてある電気製品が浸水などによって損傷することが考えられます。また、停電復旧後に電気ストーブ等の電熱器具が意図せず作動することで、付近のタオル等の可燃物に引火し、火災につながるおそれもあります。
以下の注意点に従って、通電火災を起こさないよう対策を取ってください。
【通電火災を防ぐための注意点】
・地震が発生した際に可燃物が散乱しないように、家具はできるだけ壁に固定しましょう。あわせて、電気ストーブ等の電熱器具の周辺に可燃物を置かないように日頃から意識しましょう。
・ 自宅から避難する際に時間的な猶予がある場合は、停電復旧時に異常のある製品に通電されることによる事故を防ぐため、分電盤のブレーカーを切ってください。日頃から分電盤の位置や操作方法を確認しておきましょう。
・ 停電復旧時における意図しない作動による火災を防ぐため、特にヒーターを内蔵した電気ストーブ等の電熱器具は、停電時には電源プラグをコンセントから抜きましょう。
・ 停電復旧後、浸水などによる被害を免れた製品を使う際は、機器などの外観に異常がないか(電源プラグやコードに損傷はないか、製品に焦げた痕はないか、など)を確認の上、分電盤のブレーカーを入れ、機器の電源プラグを1台ずつコンセントに差し、様子を確認しながら使用しましょう。異音や異臭がする場合は、必ず使用を中止し、メーカーや販売店に相談してください。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265353-O11-Z8d5dY4g
 地震後の停電時                          通電開始
         図4 電熱器具の意図しない作動による通電火災のイメージ
 (地震時に可燃物が飛散し、近くにあった電気ストーブに接触して発火する危険性)

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265353-O12-fHSv3iQf
(水に濡れた電気製品の内部には、水分が残っていたり、泥や塩分などの異物が付着していたりすることがあるため、通電時に電気回路基板から発火するおそれがある。)
 
(参考) 通電火災及び損傷した電気製品の事故事例
①   事故発生年月日 2016年7月3日(兵庫県、20歳代・男性、拡大被害)
 【事故の内容】
 停電復旧後に電気こんろの上に置いていた電気製品を焼損する火災が発生した。
 【事故の原因】
 当該製品は、落雷による停電以前にスイッチが入った状態で切り忘れ防止機能が働いた状態であった。停電時に切り忘れ防止機能がリセットされ、停電復旧後にヒーターへの通電が再開されたため、ヒーター上に置かれていたほかの電気製品が焼損したものと考えられる。なお、取扱説明書及び本体には、「ヒーターの上に可燃物を置かない。」、「使用後は火力調整つまみの「切」を確認する。」旨、記載されている。

②   事故発生年月日 2020年5月26日(東京都、拡大被害)
【事故の内容】
 停電復旧後に電気ストーブ及び周辺を焼損する火災が発生した。
【事故の原因】
 当該製品は、停電発生以前に電源プラグがコンセントに接続された状態で電源スイッチがオンの位置のまま、切り忘れ防止タイマーが働いた状態であった。停電時にタイマーがリセットされ、停電復旧後にヒーターに再通電して近傍の可燃物を加熱し、出火に至ったものと考えられる。なお、取扱説明書の注意には、「使用時以外は、電源プラグをコンセントから抜く。絶縁劣化による感電、火災などを防ぐ。」旨、記載されている。

③   事故発生年月日 2022年10月10日(静岡県、拡大被害)
 ※令和4年台風18号発生後事故
【事故の内容】
 事務所で異音がしたため確認すると、バッテリー(鉛蓄電池)及び周辺を焼損する火災が発生していた。
【事故の原因】
 当該製品は、10日前に発生した台風の水害により水没した製品を乾燥させるため販売事業者が事務所兼倉庫に置いていた。水害により製品内部に水が浸入したため、異常発熱が生じて焼損したものと考えられる。

 

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