福島県は25日、パリ・パラリンピックの車いすラグビーで、初の金メダルを獲得した日本代表の橋本勝也選手(22)=日興アセットマネジメント、三春町=に県民栄誉賞を贈った。橋本選手は記者会見で「受賞はすごくうれしい。世界一の選手になることを目指して頑張る」と語った。
県庁で行われた表彰式で内堀雅雄知事は、賞状と記念品である大堀相馬焼の大皿の目録を手渡し「エースとしての活躍が県民に希望と勇気、誇りを届けてくれた」と述べた。橋本選手は「体が動かなくなってもいいとの思いで臨んだ。自身に重圧をかけてきたからこそ精神面が強くなり、結果につながった」と思いを明かした。
県民栄誉賞の受賞は、登山家の故田部井淳子さん(三春町出身)、ソチ冬季パラリンピック金メダリストの鈴木猛史さん(猪苗代町出身)、エアレースパイロットの室屋義秀さん(福島市)、俳優の故西田敏行さん(郡山市出身)に続き5人目。内堀知事は17日に死去した西田さんの色紙を披露しながら「県民栄誉賞の先輩の西田さんは古里の選手として応援してくれていたと思う。これからも頑張ってほしい」と激励した。
橋本選手、恩師に感謝
県庁で25日、県民栄誉賞を受けた車いすラグビー日本代表の橋本選手は、小学校時代の担任である山崎恵子さん(55)=福島市=と受賞の喜びを分かち合った。
橋本選手にとって山崎さんはスポーツを始めるきっかけを作った恩人で、表彰式に特別ゲストとして招待された。橋本選手は「『車いすから降りてできることをやろう』の一言が自分を変えてくれた」と感謝した。
橋本選手が岩江小(三春町)1~3年時、担任だったのが山崎さん。先天性の四肢欠損による車いす生活の橋本選手が、体育の授業で山崎さんから言われた言葉を振り返り「車いすから降りることに恥じらいがあった自分の殻を破ってくれた。あの一言でここまで変われるとは想像していなかった」と笑顔を見せた。
橋本選手は2016年から車いすラグビーを本格的に始め、21年のパラリンピック東京大会で銅メダルを獲得。今夏のパリ大会では5試合全てに出場し、チーム最多の79得点を挙げ、エースとして金メダル獲得に貢献した。
橋本選手は「車いすラグビーで人生ががらっと変わった。ロサンゼルス大会ではチームの軸になりたい」と目標を語った。その上で「競技を通して外の世界を知ることの楽しさを伝えたい」とも語り、体験会などで車いすラグビーの魅力を伝えていく考えも示した。