2013年、原発事故を教訓に、日本では新しい「新規制基準」が導入され、国内の全ての原子力発電所がこの基準に基づき安全対策を強化することが義務づけられました。
新規制基準で特に強化されたのは〈1〉自然災害への備え〈2〉非常時に原子炉を冷却するための事故対応力の強化〈3〉事故時に環境への影響を最小限にするための放射性物質の管理―の3点です。
〈1〉の自然災害への備えとして重要な対策の一つが、耐震設計の強化です。耐震設計では、想定する最大の地震の揺れ(これを「基準地震動」と言います)が定められ、この数値をもとに建物の耐震性が評価されます。
一般的な建物の耐震基準は建物の用途や高さによって異なり、400~600ガル(ガルは地震の揺れの強さを表す単位)程度とされています。この数値は、震度6強から7程度の揺れに耐えるための目安です。病院や学校などの公共施設、大規模な高層ビル、重要なインフラ施設は、さらに高い耐震性が求められ、600~800ガル程度に耐えられる設計です。
原子力発電所はこれらよりもさらに厳しい耐震基準が求められ、700~1千ガルの耐震設計が必要とされています。
新規制基準の導入により、原子力発電所の基準地震動は引き上げられました。たとえば、関西電力の高浜発電所では従来の基準地震動が550ガルから700ガルに引き上げられました。同様に、大飯発電所は700ガルから856ガル、美浜発電所は750ガルから993ガルに引き上げられています。