全国生産量の7割を占めるサクランボ王国・山形県で、異変が起きている。収穫最盛期の6月に異例の暑さが続き、今年の収穫が平年を大きく下回る見通しとなった。農家の収穫作業は早めに終わり、品薄のため小売店の店頭からサクランボの姿が消えた。産地はこれまで霜への対策を重視してきたが、高温被害は想定外。対策の練り直しが迫られている。
「今年は本当に厳しかった。お客さんを断るのが心苦しい」。天童市で観光サクランボ園を営む矢萩美智さん(48)は顔を曇らせた。例年約3週間は楽しめる収穫時期が2週間ほどに縮み、7月の入園者は昨年の3分の1以下まで落ち込んだ。「ここ数年で収穫期がどんどん早くなっている」と戸惑いを隠せない。
小売店では品薄が相次ぐ。寒河江市の道の駅チェリーランドさがえでは、贈答用が既に売り切れ、パック入りもほとんど在庫がない。担当者は「入荷量はいつもの半分。販売期間は例年より短くなりそう」と話した。
JA山形中央会は「過去に例を見ない凶作水準」とし、1万トン割れが現実味を増している。