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【7月30日付編集日記】タイムマシンにおねがい

07/30 08:00

 スイッチを遠い昔に回せば、恐竜たちのいるジュラ紀に、少し昔ならば鹿鳴館で開かれる舞踏会でワルツを堪能―。サディスティック・ミカ・バンドの代表曲「タイムマシンにおねがい」は歌い手を何度も替えながら、長く親しまれてきた

 ▼この曲が発売された50年前にスイッチを回すならば、郡山市の開成山公園に行くのがお勧めだ。国内の屋外ロックイベントの先駆けとされる「ワンステップ・フェスティバル」に立ち会うことができる。ミカ・バンドや、矢沢永吉さん率いるキャロルなどが6日間にわたり演奏を繰り広げた

 ▼まだ、ロックが「不良の音楽」とされていた時代。実行委員会の苦労は、現代で同じことをするより大きかった。行政の機先を制するため、伸ばし続けた長髪をばっさりと切り、丸刈りで市長に直談判するなどしたという

 ▼「熱狂する観客の姿は、映画を見て憧れた『ウッドストック』に重なって見えた」。実行委員長を務めた佐藤三郎さんは生前、本紙の連載で当時をそう振り返っている

 ▼開催から半世紀。そんな時代もあった―と懐かしむだけではもったいない。新たな担い手が現れ、再び熱い時間を生み出すのを、伝説の舞台はきっと心待ちにしている。


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