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谷川、スーパーゴールで代表初得点 振り抜いた右足、意識したのは父の助言

07/30 11:00

谷川萌々子

 【パリ=報道部・佐藤智哉】日本の窮地を救ったのは、19歳の新星だった。パリ五輪サッカー女子の谷川萌々子(ももこ)(ローセンゴード、JFAアカデミー福島出身)は0―1の後半35分に初の五輪のピッチに立つと、2点に絡んで逆転勝利を手繰り寄せた。試合終了の笛が鳴ると「泣いちゃいました」と語り「一戦集中の思いをみんなで持って、勝利できてうれしい」と初々しいコメントに喜びがあふれた。

 1次リーグ2連敗の危機が迫る中、試合終了間際に見せ場はやって来た。後半43分、ゴール右から鋭い切り返しで突破を図ると、防ごうとした相手の腕にボールが当たり、PKを獲得。これを主将の熊谷紗希が沈めて同点に追い付いた。

 これで終わらなかった。直後にはゴールまで約30メートルの位置でこぼれ球に反応。「お父さんから『ブラジルのGKは前に出てくるぞ』と連絡を受けていたので意識していた」。ためらいなく右足を振り抜いたシュートはGKの頭上を越えてゴールネットを揺らし、劇的な代表初得点となった。

 日本協会の育成機関、JFAアカデミー福島で中高6年間を過ごした。代表最年少で2021年東京五輪に出場した白河市出身の遠藤純(米エンゼルシティー)をはじめ、アカデミー出身選手が世界を舞台に戦う姿に憧れてきたという。

 「卒業生がジャパンで活躍する姿を見て、高い意識を持って練習してきた。五輪では点に絡んだり、熱いプレーだったり、見ていて気持ちいいプレーをアカデミー生に見せたい」。直前合宿で話していた理想像をこの夢舞台で体現した。

 負傷者らでチーム事情は苦しいが、谷川は「次の一戦も大事になる。やれることをやって、いい準備していくだけ」と前を見据える。伸び盛りの大器には、未来を明るく変える力がある。

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