全国高校総体(インターハイ)は29日、福岡市の博多の森陸上競技場などで各競技が行われ、陸上男子八種競技で高橋駿士(はやと)(写真、会津学鳳3年)が8年ぶりに大会記録を更新する6125点の県高新で優勝した。
28日の前半4種目終了時点で3278点の暫定トップに立ち、29日は110メートル障害、やり投げなど残る4種目に挑んだ。7種目目の走り高跳び終了時点でもトップをキープした高橋は、最終1500メートルを4分50秒22で走り切り、2位に191点差で逃げ切った。
苦手の走力進化
異次元の強さを見せつけた。まれに見る6千点の大台に乗せ「昨年の悔しさを晴らすことができて、とてもうれしい」と喜びを爆発させた。
2年生で臨んだ昨年のインターハイは最終種目前で1位と20点差につけ、逆転優勝も狙える好機だった。しかし、最終1500メートルで思うような走りができず、12位に沈んだ。その悔しさをばねに、苦手な種目をなくすため持久力を高めつつ走力に磨きをかけた。100メートルや400メートルなどで点数を底上げし、安定して得点を稼ぐ狙いからだ。
結果は3年生になると表れ、5月の県高校体育大会で県高校新記録をマーク。6月の東北大会でさらに記録を更新する成長を遂げ、万全の準備をしてきた。
前半4種目を終えた28日に3278点で暫定トップに立つと、一度も譲ることはなかった。「大会だから早く終わってほしい気持ちと、楽しくてまだ終わってほしくない気持ちがあった」。競技時間が予定より押したため、7種目目の走り高跳びから最終1500メートルまでは十分な休息を取れなかったが、雪辱に燃える高橋は気力を振り絞り、1500メートルの自己ベストを更新する熱走を繰り広げた。
高校日本一を達成した実力者は早くも次の舞台を見据える。「大学では十種競技に挑戦するつもり。そして日本、世界で活躍できる選手になりたい」。成長を続ける王者の躍進はまだ始まったばかりだ。(石田あやめ)