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【8月2日付社説】酷暑対策/命を守る行動を優先しよう

08/02 08:15

 今年も暑い夏になっている。県内各地で最高気温が35度を超える日も多く、熱中症で医療機関に搬送される人が後を絶たない。いわき市では80代女性が亡くなった。

 国連のグテレス事務総長が「地球温暖化から地球沸騰化の時代が来た」と警鐘を鳴らした。息苦しさも感じるほどの暑さに、沸騰という言葉を実感している人は多いはずだ。これまで経験したことのない災害級の暑さから、命を守らなければならない。県内はようやく梅雨明けし、さらに暑さが厳しくなる恐れがある。細心の注意を払い、酷暑を乗り越えたい。

 最も警戒しなければならないのは熱中症だ。特に体温の調節機能が弱っている高齢者、体内に熱がこもりやすい子どもは発症リスクが高い。小まめな水分や塩分の補給、外出時の帽子の着用、日傘の使用などを心がけ、猛暑日が予想されているときは、屋外での活動を控えることが重要だ。

 庭や畑などで作業するときは家族などに声をかけ、なるべく1人で行動しないようにしたい。

 夏はイベントや祭事、スポーツ大会が多い。炎天下での活動は常に危険と隣り合わせだ。参加中、頭痛や目まい、筋肉痛など体調に異変を感じたら、すぐに建物内や日陰などに移動し、水を飲むなどして体を冷やすことが大切だ。

 発症リスクが高まると予想された場合、国から「熱中症警戒アラート」が発令される。今年からは健康に重大な被害が生じる恐れがあるときは「特別警戒アラート」も出される。イベントや大会の主催者は、こうした警報が発令されたら開催を見送るべきだろう。

 熱中症は夜間に発症するケースもある。日中に強い日差しで地表や屋根などが照り付けられると、夜になっても気温や室温は下がりにくい。良質な睡眠で暑さに疲れた体を癒やすためにも、就寝中の冷房の利用は有効だ。

 県は、公共施設やスーパーやコンビニエンスストアなど計約1300カ所を「ふくしま涼み処(どころ)」に指定している。涼しい施設内で一時的に暑さをしのぎ、熱中症などを予防する取り組みだ。

 指定された施設にはのぼりやポスターが掲示されている。外出してから施設を探すのではなく、事前に県のホームページなどで確認し、上手に活用したい。

 旅行やレジャー、帰省など車で出かける機会も増える。炎天下でエンジンを止めた車内は危険だ。毎年、車内に残された幼い子どもが亡くなる事故が発生している。ほんの数分であっても絶対に車内に置き去りにしてはならない。

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