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【8月5日付編集日記】ややまひろしさん

08/05 08:00

 ユーモアあふれる文章にイラストが添えられた「ろう漫日記」の連載は6月の最終回まで、10年間続いた。原稿について問い合わせると、返信のファクスには必ずクスっとさせられる一文があった。どこまでも笑わせてくれる人だった

 ▼長唄、小唄、浄瑠璃に義太夫…だけではない。常磐津、民謡、浪曲、三味線に箏。漫画を描き、エッセーも書く。落語や突拍子もないものまねなど人を楽しませることなら、お任せあれ。ややまひろしさんには「歩く芸のデパート」の表現がぴったりだ

 ▼原点にあるのは、若い頃のデパート勤めで鍛えられたサービス精神。客に喜んでもらうために、さまざまなことに挑戦してきた。中でも自分が楽しく、人も喜んでくれることが長続きした

 ▼独立後は、本紙で1こま漫画などを描き、笑いを提供してきた。「災害や戦争は人間が生きている限り起きる。その中で少しでも気持ちにゆとりをもち、あまり深刻に考えずに生き、笑いを見つけるのが私の仕事ではないか」とも

 ▼通っていたデイサービスでも得意の話芸を披露し、「職員さんたちがゲラゲラ笑ってます」と語っていたややまさん。天国で今ごろ、神様を相手にどんな芸で笑わせているのだろう。

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