第106回全国高校野球選手権大会がきょう甲子園球場で開幕する。3年連続19度目の本県代表、聖光学院は第5日(11日)の1回戦で山形代表の鶴岡東と初戦を迎える。聖光ナインには闘志あふれる戦いで勝利し、悲願の全国制覇に向け好発進してもらいたい。
聖光学院は一昨年、県勢として51年ぶりの4強入りを果たした。昨年は初戦を突破したものの、2回戦で大会連覇を狙った仙台育英に惜敗し、2年連続で同じ相手に涙をのんだ。
今大会は初戦から東北勢との対決になる。かつては隣県との初戦からの対戦を避けるため、東日本と西日本に分けて抽選していたこともあり、県勢と山形勢の甲子園での対戦は春夏通じて初めてだ。
近年、東北地区はレベルが高く実力が伯仲している。接戦が想定されるだけに、攻守でいかにミスなく戦うかが勝利の鍵を握る。
聖光学院は本塁打を期待できる強打者は不在で、「1点をもぎ取る野球」に徹している。福島大会は全5試合で27犠打、10盗塁を記録するなど、積極的な走塁、巧みなバントなど機動力を生かした攻撃で粘り強く戦ってきた。
投手陣は3年生の両右腕が柱になる。高野結羽選手は変化球の切れ、古宇田烈選手は球威が持ち味だ。高野選手は昨夏、甲子園のマウンドを経験していることも心強い。守備は福島大会で失策1と、伝統の堅守も投手をもり立てる。
鶴岡東は2年ぶり8度目の出場で、エース左腕で4番の桜井椿稀選手を中心に、攻守にバランスの取れたチームだ。昨秋と今春の山形県大会も制しており、県内公式戦は無敗で甲子園に挑む。
聖光学院は6月に練習試合を2度行い、いずれも敗れたが、甲子園での経験値は相手を上回る。序盤に先制点を奪い主導権を握り、堅守で勝利を引き寄せてほしい。
大会は休養日3日を含む17日間の日程で開催される。今大会は暑さがピークとなる時間帯を避けるため、1日3試合の第1日から第3日は、試合を午前と夕方に分ける「朝夕2部制」が導入される。
しかし1日4試合の第4日以降は終了時間が遅くなることが懸念され、2部制は実施されない。炎天下のグラウンドの気温は40度近くになる。これまでと同様に入念な酷暑対策が求められる。
開場から100年を迎えた甲子園の美しい黒土や天然芝には、球児らの汗や涙が染み込んでいる。聖光ナインは憧れの舞台への出場がかなわなかった県内61チームの思いを胸に全力でプレーし、甲子園に新たな歴史を刻んでほしい。