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「ひと」分野の達成度低く、福島県総合計画 婚姻・出生…目標と差

08/07 09:30

 福島県総合計画審議会は6日、福島市で会合を開き、現計画(2022~30年度)の施策の進捗(しんちょく)状況を確認した。計画2年目に当たる23年度は、健康・長寿や人口減対策、教育などを網羅する「ひと」分野で目標達成が63指標のうち22指標(34・9%)にとどまり、三つの政策分野の中でも特に厳しい現状を浮き彫りにした。

 総合計画は「ひと」「暮らし」「しごと」の三つの政策分野別に基本指標を定めている。ひと分野では、結婚、出産、子育てに関して8指標を設定し、達成は5指標。婚姻数5599件(23年度目標8千件)、合計特殊出生率1・21(同1・57)はともに前年度から悪化し、それぞれ目標を大きく下回った。「本県で子育てしたい」と回答した県民の割合は60・2%(前年度比1・2ポイント減)で、目標より約10ポイント低かった。

 教育の充実に関する22指標のうち達成は8指標で、前年度の11指標から後退した。全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で小学6年と中学3年の全教科で目標値を下回ったことが響いた。本県への新しい人の流れづくりに関しては、移住者数など複数の指標で目標を上回ったが、人口の社会減は前年度より274人多い6926人で、目標値との差がさらに開いた。

 暮らし分野は、60指標のうち30指標で目標を達成。環境と調和・共生する県づくりに関する7指標は4指標で目標に届かず、県民1人が排出する1日当たりのごみの量は1021グラムと全国ワーストだった。

 しごと分野は、43指標中26指標で目標を達成した。福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想を基軸とした産業集積・振興に関して、重点分野での事業化件数で119件(23年度目標105件)は目標を上回った一方、工場立地数は287件(同319件)にとどまった。

 会合では委員から「県独自の大胆な施策が必要」「人員が限られる中、深く有効な取り組みを目指してほしい」などの意見が出た。

 審議会は9月に意見書を取りまとめ、内堀雅雄知事に提出する。県は10月に対応方針を決定し、来年度当初予算編成に反映する。

 16指標の目標値修正 がん検診受診率など、2指標を追加 

 県は総合計画審議会で、総合計画の16指標の目標値を修正・変更し、2指標を追加すると報告した。

 胃、肺、大腸のがん検診受診率はいずれも2024年度から30年度まで50%以上の目標を「60%以上」に引き上げる。19年度時点の実績は30%前後にとどまり、変更前の目標を大きく下回っているものの、がんの早期発見・治療の重要性を踏まえてより高い数値を掲げる。

 新たに追加した指標は、感染症法に基づき医療措置協定を結んだ医療機関の確保病床数など。新興感染症に対応する医療提供体制の確保に向け、重要指標と位置付けた。


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