迎え入れる側である私たちが、それぞれ少しずつ相手の気持ちや立場を想像することで、その距離を縮めていきたい。
県内に住む外国人は昨年末時点で過去最多の1万7783人で、県人口に占める割合が初めて1%を超えた。外国人住民の国・地域別の内訳は、最多がベトナムの4421人で、中国やフィリピン、韓国などが続いている。定住する人の増加に伴い、0~19歳の子ども、若者も増えている。
1万7千人超の人口は県内のほとんどの町村を上回っている。県人口の減少により、今後もその比率は高まっていく公算が大きい。海外から本県に移り住んでいる人が私たちと互いに支え合う存在として、快適で安全に暮らしていけるようにすることが重要だ。
県のまとめによると、外国人で最も多いのは全体の3割弱を占める永住者で、県民と結婚するなどして長く生活している人だ。次いで多いのが技能実習生で、若い世代が多い。
十分な配慮が必要なのは、技能実習で本県に住んでいる人々だ。技能実習は今後、新たな制度に切り替わり、一定の技能と日本語の能力が認められれば、家族の帯同、事実上の永住が可能となる。ただ、新制度ではこれまでよりも職場を変えやすくなっており、地方で働き始めた外国人が短期間で、待遇の良い都市部に移ってしまう恐れが指摘されている。
本県に長く住んでもらうには、待遇の改善に加え、職場や地域に愛着を持ってもらうのが近道だろう。しかし、技能実習などでは外国人が集団生活をし、職場と住居の往復が中心となるため、住民との接点は希薄になりがちだ。
県はこうした現状を受け、モデル事業として、地元企業で働く外国人と地域住民による花見や、学校の文化祭を通じて互いの文化を紹介するなどして交流を深める取り組みを進めている。事業による期間を区切った交流に終わらせず、関係構築につなげていくことが不可欠だ。
外国人に対しては、分かりやすい日本語を使うことも大切だ。県内の外国人の7割は日本語で新聞を読んだり、ニュースを聞いたりすることができるとのデータがある。しかし、「できないことはありません」などといった二重否定は外国人には分かりにくく、「できる」「できない」と言い切る方が理解しやすいとの指摘もある。
特に外国人が困った様子でいる時や、大規模災害などの緊急時には、分かりやすい日本語を意識して話しかけるようにしてほしい。