県内の多くの学校で2学期が始まった。2学期は1年のうちで最も長く、学校祭や部活動の大会など行事がたくさんある。子どもたちは、自分なりの目標に向かって挑戦してほしい。
夏休み中にはパリ五輪が開かれた。バドミントン混合ダブルスで銅メダルを獲得した、富岡高卒の渡辺勇大、東野有紗両選手がペアを初めて組んだのは中学時代の国際大会だった。急きょのペア決定にもかかわらず、息が合い、3位に入った。そこから2人で世界一を目指す挑戦が始まった。
2人の足跡は、やってみないことには何が起こるか分からない面白さを教えてくれる。好奇心やチャレンジ精神の赴くままに勉強や運動、読書、学校行事などに取り組んでみよう。苦手なものが好きになったり、新しい友達ができたりすれば毎日が楽しくなる。
渡辺、東野両選手は考えていることを一人で抱え込まず、言葉にして共有し、ペアとしての競技力を高めてきた。大会で結果が出なかったときには、つらい思いを打ち明け、気持ちを切り替えた。
新しいことや苦手なことに挑戦して結果を出すのは、簡単なことではない。不安や悩みに直面したら、教員や保護者らに何度でも相談してほしい。課題解決の糸口が見つかるはずだ。
夏休みのゆったりした生活リズムから、規則正しい学校生活への切り替えがうまくいかず、学校に行くことがつらいという子どもはいないだろうか。以前から抱えている交友関係や勉強などの悩みが大きくなることもあるだろう。
2学期の始まりに我慢して通学した結果、自分でもどうしたらよいのか分からないまま、不登校になったり、深刻な場合、自分の体を傷つけたりする人がいる。つらいときは保護者に「学校に行きたくない」と伝えてほしい。
保護者に求められるのは、「行きたくない」という子どもの気持ちを受け止め、休ませることだ。学校に行きたくない理由を無理に問いただしたり、強制的に通学させたりして、子どもを追い詰めるのは避けなければならない。
子どもの逃げ場は限られている。保護者が徹底的に子どもの味方になり、家庭を安心して過ごせる居場所とすることが肝要だ。
悩み事を伝えられない子どももいる。文部科学省は、SOSを見逃さないためのポイントとして、発熱や腹痛が増えた、ふさぎ込むようになった、好きな遊びをしなくなった―など心身の変化を挙げる。保護者や教員らは注意深く見守ることが大切だ。