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自民、議席維持に焦り 緊迫の福島県内政治情勢 衆院福島4区の動向焦点

08/26 10:25

 自民党総裁の岸田文雄首相、立憲民主党の岡田克也幹事長が、そろって福島県内入りした。9月27日の自民総裁選直後の衆院解散の観測が強まる中、県内与野党にも緊張感が漂いつつある。

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 いわき市で24日開かれた自民の政治刷新車座対話。その終盤、非公開の場で本県側出席者の一人が岸田首相に切り出した。

 「福島では衆院新4区の状況が課題になっている。お力添えをお願いしたい」

 対話は、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け党幹部が3月に始めた全国行脚の一環。異色とも取れる要請の背景には、首相退陣に伴う早期解散論が強まり、緊迫する県内の政治情勢がある。

 福島4区の動向は最大の焦点だ。支部長で現職の吉野正芳議員(旧福島5区)は体調面の理由から国会への欠席が続く。一度は6月の通常国会閉会を区切りに進退を表明する意向を固めたが、解散が遠のいたこともあり、先送りになった。

 吉野氏の事務所は取材に「政局の動向を鑑み、適切な時期に判断する。現任期は全うする」と述べた。ただ、仮に立候補を見送った場合、時期次第で後継に出遅れが生じる。秋の解散をにらむ党内には「9月末が限界。もう判断を示すべき時だ」との声もあり、関係者が慎重に表明時期を探っている。

 後継として坂本竜太郎元県議の擁立を模索する動きがあるが、現職の意向を尊重し本格化していない。ある支持者は「国政選挙では全くの新人。遅れれば遅れるほど不利になる」と語る。

 2021年の前回衆院選で、自民は県内各小選挙区で野党統一候補の攻勢を許した。全国で与党が絶対安定多数の議席を占める中、県内は2勝3敗。区割り変更後の次期衆院選で1~3区に立候補予定の各現職のうち2人も敗北を喫し、比例代表での復活当選に甘んじた。

 1、3区にそれぞれ立候補を見込む現職の亀岡偉民(比例東北)、菅家一郎(同)両議員は政治資金収支報告書への不記載が尾を引く。2区に立候補予定の根本匠議員(旧福島2区)は73歳となり「73歳定年制」の党規約に基づき、2回連続で比例復活の亀岡氏と共に比例代表への重複立候補が原則認められない。小選挙区での勝利は絶対条件だ。

 新総裁の下、結束

 政治不信の逆風が吹く中、当選9回で党東日本大震災復興加速化本部長を務める根本氏であっても「予定に隙間がないほど精力的に地元を回っている」(2区内の県議)。1~3区では、新たに選挙区に加わる地域で後援会を続々と設立するなど、基盤の構築を急ぐ。

 矢吹貢一県連幹事長は24日、次期衆院選の目標を従来同様の「現有5議席の維持」と説明。9月の総裁選を念頭に「自民党が生まれ変わり、新たなリーダーの下で結束することが重要だ」と強調した。

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