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【8月27日付社説】白熊が新入幕/好敵手と切磋琢磨で躍進を

08/27 08:50

 さらなる高みを目指してライバルと切磋琢磨(せっさたくま)し、角界を盛り上げてもらいたい。

 大相撲名古屋場所で初の十両優勝を決めた須賀川市出身の白熊(本名高橋優太、二所ノ関部屋)が、9月8日に初日を迎える秋場所で新入幕を果たした。腰のけがなどを乗り越え、新十両から1年で幕内昇進をつかんだ。

 白熊は珍しいしこ名と、愛嬌(あいきょう)のある笑顔で相撲ファンの人気を集めているが、最大の魅力は恵まれた体を生かした力強い相撲だ。肩まわりの盛り上がった筋肉は、厳しい稽古を積み重ねてきた証しだ。これまでの努力をたたえたい。

 本県出身の幕内力士は戦後9人目だ。秋場所の本県出身の幕内力士は福島市出身の前頭3枚目の若元春(本名大波港、荒汐部屋)、同7枚目の若隆景(本名大波渥、同)と3人になる。本県出身者が3人も番付で最高位の枠組みにいるのは県内の大相撲ファンにとって夢のような出来事といえる。

 白熊は秋場所に向け「挑戦者として新しい舞台で思いきり相撲を取る」と語っていた。現在は得意の右四つにさらに磨きをかけることを目指し稽古に励んでいるという。技巧派として活躍している若元春や若隆景のように、高いレベルの技で土俵を沸かせてほしい。

 須賀川市では31日に祝賀会が開かれ、伝統の「松明(たいまつ)あかし」をモチーフにした化粧まわしが贈呈される。同市出身の初めての幕内力士だ。故郷からの熱い応援は大きな励みになるだろう。地元から力強くエールを送っていきたい。

 白熊は中学から親元を離れて新潟県の相撲の強豪校に進み、日体大では相撲部の主将を務めた。2022年4月に入門し、序ノ口、序二段でそれぞれ優勝、西幕下4枚目で臨んだ1年前の名古屋場所で勝ち越し、十両昇進を決めた。

 順調に相撲道を歩んできたが、本人は決して満足していなかったはずだ。その理由は同じ二所ノ関部屋所属で日体大の後輩、大の里の存在だ。1学年下で同じ新潟県の中学に相撲留学してから高校、大学と、白熊の後を追ってきた。その後輩は、白熊と同時に十両に昇進後、わずか2場所で幕内に駆け上がり、今年5月の夏場所では堂々の初優勝を果たした。

 関脇として2場所目となる大の里は、成績次第で大関昇進の可能性もある。身近にいるライバルの存在は成長の糧になるはずだ。

 今回は日体大の1年後輩の阿武剋と同時の幕内昇進となった。2人の後輩に負けることなくこれからも日々精進し、一日も早く賜杯をつかむことを期待したい。

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