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超無撚糸、浅野撚糸から新素材 優れた吸水力、耐久力…より柔らかく

08/27 09:30

「超無撚糸」を使ったタオルを手にする浅野社長

 糸をより合わせた撚糸(ねんし)の製造、タオル販売などを手がける浅野撚糸(岐阜県安八町)は26日、吸水性と柔らかな肌触りを高い水準で実現した新素材「超無撚糸」の開発に成功したと発表した。新素材は同社が双葉町に設けた生産拠点「フタバスーパーゼロミル」でのみ製造されることから、浅野雅己社長は「双葉産の超無撚糸を世界に向けて売り込んでいきたい」と決意を語った。

 浅野撚糸は、水に溶ける糸を使う特殊な工法で生み出した糸である「スーパーゼロ」の開発で知られる。吸水性に優れる一方、柔らかい肌触りについては、緩やかに仕上げた「無撚糸」と呼ばれる糸を使った製品にはわずかに足りないと分析していた。

 「無撚糸」を使ったタオルは柔らかいが、けば落ちなどの劣化しやすさが課題となっていた。スーパーゼロの特徴を生かしながら耐久力のある柔らかい素材の開発を目標としていたが、そのためには高い真空状態を維持したまま糸を水蒸気で処理する技術の確立が不可欠だった。

 浅野撚糸は、昨年4月に完成した双葉の生産拠点に新たな機器を導入して試行錯誤を続けていたところ、生産に適した水温の地下水を掘り当てることにも恵まれ、新素材の開発に成功した。耐久度を示すけば落ち率は0.063%で、他産地の基準よりも下回った。使うほど繊維が柔らかく開く効果も得られ、新たなタオルブランド「わたのはな」として販売を決めた。

 浅野撚糸はスーパーゼロの開発後、従来のバスタオルの大きさの半分で同等の吸水性を確保できることから、タオルのサイズダウンによる資源の節約や地球温暖化防止などを訴えてきた。今回の新素材は、生産で使う綿花の量をさらに削減できることから、浅野社長は「新素材のタオルを使うことで、誰でもSDGsに取り組むことができる」とアピールした。

 新タオル、27日からセール

 浅野撚糸は27日から、新素材に対する消費者の感想を得るために「わたのはな」製品の特別セールを実施する。通常2640~4400円で扱う糸の太さなどが異なる六つのタオルを期間中、半額で販売する。

 セール期間はフタバスーパーゼロミルが9月29日(月曜日休日)、福島市の県観光物産館が9月30日、インターネットの「エアーかおるダイレクト」が9月30日まで。問い合わせは浅野撚糸双葉事業所(電話0240・23・7648)へ。


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