• X
  • facebook
  • line

東邦銀子会社と福島銀、M&Aで業務提携 円滑な事業継承実現へ

10/04 08:30

 東邦銀行の完全子会社で事業承継などを手がける東邦コンサルティングパートナーズ(TCP)と福島銀行は3日、企業の合併・買収(M&A)に関する業務提携を締結したと発表した。地域金融機関の垣根を越えて協力することで円滑な事業承継を実現し、地域の雇用維持や県内企業の価値向上を目指す。締結は1日付。

 計画の枠組みは【図】の通り。譲渡を希望する企業から受けた相談を情報共有し、TCPがアドバイザーとして候補先に関する情報収集や提供、面談や交渉の手配、手続き上の助言などの実務を支援する。譲り受けを希望する企業からの相談にも対応し、TCPは企業同士のマッチングも行う。主に県内企業を想定しているが、県外からの相談も受け付ける。

 TCPなどによると、2022年度の県内企業の休廃業数は785件。そのうち43.6%に当たる342件が経営者の高齢化や後継者不在による「黒字廃業」だった。地域衰退や雇用維持に直結する喫緊の課題となっており、近年は他県でも異なる地域金融機関が提携して事業承継の推進に取り組む事例があるという。

 TCPは22年10月に開業。23年度は事業承継に関する相談が126件、M&Aの相談が471件寄せられ、復興特需が一服した建設業や残業規制が強化された「2024年問題」を発端に廃業を考える運送業からの依頼が特に多いという。

 福島銀行は、22年6月に新設した法人コンサルティング室で事業承継などの紹介業務を行ってきた。

 福島市で会見したTCPの吉田哲治副社長は「開業から2年を迎えるが、地域内連携を高め、より多くの企業の課題解決に貢献したい」と述べた。福島銀行の草野真之執行役員営業本部長・市場金融部長は「これまで県外業者に仲介を依頼してきたが、県内企業を紹介先とすることで地域内での経済循環につなげたい」と期待した。

地銀再編「考えず」 一方、連携に伴う地銀再編の可能性については両機関とも「考えていない」とした。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line