【10月27日付社説】衆院選・きょう投票/自分の意思を1票に託そう

10/27 08:15

 衆院選は投票日を迎えた。3年ぶりに国のかじ取り役を選ぶとともに、進むべき道を提案する重要な機会となる。有権者一人一人の考えを1票で示してほしい。

 石破新政権の信を問う選挙は、自民党派閥の裏金事件を受けた政治改革が最大の争点となっている。「政治とカネ」の問題に最終盤まで注目が集まり、経済財政や社会保障、子育て、エネルギーなどの課題を巡る各党の公約が有権者に浸透したとは言い難い。

 本県をはじめとする地方は人口減少に歯止めがかからない。物価高の傾向は変わらず、家計の負担は増している。育児休暇を取る男性は増えているものの、今も多くの女性が働きながら家事や育児を一手に担っている。

 暮らしを見つめれば、変えたいと思う現状があるはずだ。それに対し、各党、候補者はどんな政策を訴えているだろう。有権者は、実行性を裏付ける財源を含め、公約を見極めることが重要だ。

 県内有権者を対象にした福島民友新聞社などの世論調査では、投票に「必ず行く」と答えたのは7割超で、「なるべく行く」と合わせて9割を超えた。前回も事前調査は同水準だったが、実際に投票した人は6割にとどかなかった。

 棄権はどんな政策が実行されようとも、異議を申し立てる権利を放棄しているのと同じだ。世界には選挙が行われない非民主主義国などがあるが、そうした体制への批判も説得力を持たない。

 国会議員らとの関わりが薄い有権者にとって、選挙は自らの意見を政治に伝える数少ない機会だ。棄権せず投票所に足を運ぼう。

 投票率の向上が喫緊の課題である若者は、少子高齢化で保険料や税の負担が増す一方、サービス低下で割に合わない思いをする恐れのある世代ということを知ってほしい。負担を一方的に押しつけられぬよう、もっと若者の声を政治に反映させる必要がある。

 本県は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興の途上だ。事故から13年以上が過ぎても帰還困難区域がある。中間貯蔵施設にある除染土の県外搬出などの難題が山積しているにもかかわらず、復興に対する国の姿勢の後退が指摘されている。

 まず県民を代表する国会議員の資質を高めていく必要がある。投票率を上げ、本県の国政への関心の高さを示すことが大切だ。

 国のかじ取り役は時に、力任せに物事を決めたり、道を誤ったりする。有権者は選挙で軌道修正を図りながら、自分や福島、日本の将来をより良くしていこう。

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