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原発で重要な二つの容器

10/12 10:30

 原子力発電所は、ウランなどの放射性物質を燃料に使い、その核分裂によって発生する熱で電気を作る設備です。核分裂が起こると大量の熱が生まれます。その熱で水を沸騰させて蒸気を作り、その蒸気でタービンを回すことで電気を生み出します。

 この仕組みの中で、重要な役割を担うのが「圧力容器」と「格納容器」です。圧力容器は原子炉の中心にあり、核分裂反応が行われる場所です。燃料がこの中に入っており、核分裂によって高温高圧の蒸気が発生します。この圧力容器は通常、15~30センチの厚さの鋼鉄でできており、内部の高温高圧の蒸気を封じ込める構造です。大きさは原子炉の種類によって異なりますが、高さ約20メートル、直径約5メートルで、カプセルを縦にしたような形をしています。

 圧力容器とその周りの設備全体を覆っているのが格納容器です。格納容器は、数センチの厚さの鋼鉄や鉄筋コンクリートで造られています。サイズは高さ約30メートル、直径約18メートルで、ドーナツの上に円筒を乗せたような形状をしています。

 福島第1原発の1~5号機は、原子力発電を初めて導入した頃に建設され、米国の技術を使った鋼鉄製の格納容器が使われていました。その後、日本独自の技術改良が加えられ、鋼鉄とコンクリートを組み合わせた強力な格納容器が採用されるようになりました。なお、世界には格納容器がない原子炉も存在しますが、日本の原子炉は全て格納容器が設置されています。

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