東京電力は30日、福島第1原発2号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しで、原子炉格納容器底部にあるデブリを取り出し装置先端の爪形器具でつかみ、持ち上げることに成功したと発表した。廃炉作業の最難関とされるデブリの初めての回収に向けて前進した。順調に進めば数日から1週間程度でデブリの採取を完了する見通し。
東電は同日午前9時57分にデブリをつかむ作業を始めた。釣り糸のように器具を垂らし、カメラの映像を確認しながら午前10時半に大きさ5ミリ以下、重さ3グラム以下とみられるデブリをつかんだ。デブリをつかんだまま器具をつり上げ、午後0時33分にトラブルなく作業を終えた。デブリは格納容器内の底部から高さ約5メートルの位置に器具でつかんだままの状態にある。
今後は装置を格納容器から引き抜く工程に入る。31日は格納容器外側に向けて装置を約3.5メートル動かす。11月1日以降に格納容器の外にある装置の収納箱に到達する見通しだ。
収納箱の中で放射線量を測定して毎時24ミリシーベルトを超えなければ運搬用の箱に入れ、原子炉建屋内に設置した設備で重さなどを計量する。その後、茨城県大洗町の分析機関に運び、本格的な取り出しに備えてデブリの性状などを詳細に調べる。作業員の被ばく線量などを考慮し、デブリの放射線量が高い場合は別の試料を改めて採取する。
試験的取り出しは8月22日に始まったが、装置を押し込むためのパイプの並び順のミスが判明し、同日朝に作業を中断した。9月10日に作業を再開し、動作確認でデブリをつかんだが、装置先端のカメラ2台の映像が確認できなくなるトラブルがあり、さらに作業を約1カ月半中断。カメラを交換して今月28日に再開した。
原発事故によるデブリは1~3号機に約880トンあると推計されている。大規模取り出しの具体的な工法などは決まっていない。