福島医大医学部甲状腺内分泌学講座のグループが甲状腺がんの治療内容や病理所見についてまとめた記述的研究が、米国甲状腺学会の公式学術誌にオンライン公表された。医大が11日発表した。公表は10月14日付。
同講座の松本佳子学内講師、古屋文彦教授らのグループが、県民健康調査のうち東京電力福島第1原発事故当時18歳以下だった人を対象にした甲状腺検査で、がんやがんの疑いと診断された人の治療内容や手術検体の病理所見をまとめた。
医大甲状腺内分泌外科での手術例は98%が「ステージ1」だったが、半数で甲状腺外へのがん細胞の浸潤が確認された。
約9割の症例では、通常の手術と比べ患者の体への負担が小さい方法で片側の甲状腺を切除する手術が行われたが、術後に声がかれたり、副甲状腺機能が低下したりといった合併症が見られていないことも分かった。
また、これまでの研究成果から、原発事故後7カ月間の外部被ばく線量の99・8%は5ミリシーベルト未満とされ「甲状腺がんとの統計学的関連は認められていない」とした。