地域公共交通総合研究所(岡山市)は10日、全国のバスや鉄道、旅客船事業者を対象に経営実態を尋ねたアンケート結果を発表した。回答した93社のうち半数がコロナ禍前より売り上げが10~30%減っている状態が続き、2割は3月時点で債務超過に陥るなど厳しい実情が浮き彫りになった。
研究所が5~6月、499社に調査票を送り、2割から回答を得た。コロナ前の2019年度と比べた23年度の売り上げは46%の事業者が10~30%減っており、人流回復後も影響が残っている。
コロナ禍での損失額は46%の事業者が10億円以上と回答。22%は債務超過の状態にある一方、経営体力を示す剰余金が多い事業者も一部存在し明暗が分かれた。
時間外労働(残業)の上限規制が適用される「2024年問題」の影響について、バス会社は自由記述で「深刻な運転手不足による事業継続危機に直面している」と苦境を明かした。旅客船事業者では燃料費が前年度比10~30%以上増えた事業者が6割。燃料費が支出に占める割合が比較的高く、高騰の影響が顕著だ。