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人口減や高齢化、空き家増...課題解決へ研究会発足 福島・蓬莱地区

07/26 07:50

空き店舗がある蓬莱ショッピングセンター=福島市

 福島市郊外の蓬莱地区で持続可能なまちづくりを考えようと、福島大や地元の住民団体、事業者らが25日、「蓬莱未来デザイン研究会」を発足させた。1970年代に開発が始まった「蓬莱団地」は県内の郊外住宅団地の中でも歴史がある分、全国の郊外団地で見られる人口減少や高齢化の進展、空き家の増加といった課題が先行して顕在化しており、地域を維持していくため、課題解決が急がれている。

 蓬莱地区は中心市街地から南に約7キロの丘陸地に位置し、近くには福島医大や福島大がある。このうち71年に分譲が始まった蓬莱団地の人口はピーク時(91年)に1万1659人いたが、6月末現在で7874人とこの30年で4千人近く減り近年は年200人のペースで減少しているという。一方、世帯数は約400世帯の増。高齢の単身世帯も増えており、市内の地区別の高齢化率は上位にある。

 団地内には空き家も目立つ。地区の中心部にある蓬莱ショッピングセンター(SC)はテナントが入る10店のうち3店が空き店舗となっているという。

 研究会はこうした現状への危機感から設立された。月1回程度の会合に加え、SCの経営やまちづくり、住環境、ニーズなどの観点で調査研究し、年度内に市などへの提言をまとめる。

 発起人の一人、福島大行政政策学類の今西一男教授(55)は「高齢化の課題を抱える県内の郊外団地は多いが、蓬莱団地は(分譲開始から)50年以上たつ先発の団地なので高齢化や人口減が進んでいる」と指摘した。

 25日の初会合には約20人が参加した。発起人で蓬莱SC社長の鈴木精一さん(69)は「高齢者にとって住み良い環境がある一方、もっと若い人を呼び込むという視点が必要ではないか」と提唱。蓬莱まちづくりサークル監事の渡辺茂夫さん(75)は「若者を呼び込むには近くに仕事がないと難しい」と訴えた。

          ◇

 蓬莱団地 県住宅供給公社が造成し、1971年に分譲を開始。間もなく開設された蓬莱ショッピングセンターは公社の解散に伴い2008年度に市に譲渡され、建て替えられた。蓬莱団地のような郊外住宅団地は高度経済成長を背景とした都市部への人口集中を受け、全国で開発が進んだ。

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