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自転車盗難減へ施錠啓発看板を設置 福島県警が行動科学の実証実験

08/28 09:20

県内の駐輪場に設置される4種類の看板
横断幕を設置した松本署長(左)と赤松課長=27日午後、郡山市・JR郡山富田駅

 「この駐輪場では90%以上の人がカギをかけています」「カギをかけていただきありがとうございます」―。福島県内で増加する自転車盗を受け、県警は27日、相手に命令せず、より良い選択をするように促す行動科学の「ナッジ理論」を活用した看板や横断幕を作成し、県内各地に設置して自転車の施錠を促す実証実験を開始した。

 用意したのは感謝や集団意識などを訴え、自転車の施錠意識を働かせる文言が書かれた4種類。製作会社のアイデアで目を引くデザインとした。同日は郡山市のJR郡山富田駅駐輪場に看板と横断幕を取り付けた。今月末までに自転車盗被害の多い、福島市やいわき市など県内14カ所の駐輪場に設置。11月末まで、一定期間ごとに内容を入れ替え、駐輪場の施錠率を比較。効果を検証し、今後の盗難対策に生かす。

 県警によると、今年1~7月末に県警が認知した自転車盗は679件で、前年同期と比べて163件増加した。今年の自転車盗のうち、66.6%が無施錠による被害だった。

 実証実験には犯罪科学が専門の福島大の鈴木あい特任准教授と科学警察研究所が協力。鈴木特任准教授によると、命令では人間に反発や不快な感情を招くが、ナッジ理論では行動を「自然と変える」ことができるという。

 JR郡山富田駅駐輪場で27日、設置式が行われ、県警の赤松正広生活安全企画課長と松本明郡山北署長が駐輪場に横断幕を取り付けた。赤松課長はあいさつで「今回の対策で一件でも多くの被害を減らしていきたい」と述べた。

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