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民話の語り部、新地の小野トメヨさん100歳に 「命ある限り続けたい」

08/29 10:00

贈呈式で民話を披露した後、質問に答える小野さん

 福島県新地町の民話の語り部、小野トメヨさんが100歳を迎えた。小野さんは28日、同町を訪れた内堀雅雄知事から賀寿を受けた後、張りのある声で地元の昔話を披露した。「ここまで生きることができたのは天の恵み。命ある限り、語り続けたい」と生涯現役を誓った。

 小野さんは1924(大正13)年8月26日、相馬市で生まれた。結婚して新地町に移り、子ども3人、孫8人、ひ孫15人に恵まれた。現在は同町小川で長男夫婦と3人で暮らす。

 70歳を過ぎてから語り部になった。2001年のうつくしま未来博に出演後、各地で昔話をするようになった。レパートリーは「一口話」と呼ばれる短編から15分程度の民話まで30~50作品ほどに上る。町史に記された伝承などを覚え、語りの幅を広げたという。

 転機となったのは東日本大震災。自宅が津波で流され、一時は意欲を失った。だが、語り部をする際の衣装が、がれきの中から偶然見つかり、再起のきっかけとなった。再び活動を始めた小野さんは震災、東京電力福島第1原発事故への思い、ボランティアへの感謝などを、町に伝わる民話とともにCDに吹き込み、古里復興への願いを込めた。

 贈呈式で内堀知事や大堀武町長、親族らから祝福を受けた小野さんは「100歳まで生きると、こんなにもうれしいことがある。みんなに100歳になってもらいたい」と語った。

 小野さんは、町内にある郷土の民話の伝承拠点「おがわ観海堂」で毎月第3土曜日午後1時半から民話を披露している。入場無料。

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