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未来像示して 石破内閣発足、福島県民の声

10/02 09:20

 石破茂政権が1日、発足した。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、政治への信頼回復が急がれる状況下で船出を迎えただけに、石破首相は「納得と共感の政治を真っすぐ進める」と約束した。物価高の影響が長引く中、本県の復興を前に進め、県民が豊かさを感じられる暮らしを実現できるか。衆院解散、総選挙を見据え、県民は政権が打ち出す政策とその実行力に注目している。

 「復興加速を」「若者に雇用確保」

 「料理が趣味といえるほど好きだが、野菜や肉の高値には悩まされる」。県高等理容美容学院の教務・美容科主任山崎信子さん(52)=福島市=は物価高の実感を吐露し、国民一律の定額給付金の支給といった垣根のない支援策を求めた。

 石破政権は地方重視の姿勢を強調する。いわき市の看護師村井美羽さん(25)は地域の高齢化を不安視しており「仕事を求めて県外に出た同年代の知り合いがいる。若者が増えるためにも地域に雇用が必要」と雇用確保を課題に挙げた。

 首相は記者会見で、東日本大震災からの復興に全力を挙げると表明したが、東京電力福島第1原発事故の被災地では生活環境の改善や産業再生などの課題が山積する。大熊町の災害公営住宅で暮らす渡辺憲生(のりお)さん(78)は「町の再生はまだまだという現状をしっかり見て復興を加速させてもらいたい。子どもや孫の世代が安心して町で暮らしていけるよう寄り添った復興施策を進めてほしい」と話した。

 楢葉町の自営業宇佐見采花(あやか)さん(29)は「空き家の管理や、移住したくても家の選択肢がなくて困っている人がいる。住宅の課題が解決する支援策や仕組みを進展させてほしい」と注文を付けた。ベンチャー企業の経営相談などに取り組むゆめサポート南相馬所長の木村浩之さん(66)=南相馬市=は「航空宇宙やロボットなどの産業が浜通りに集まってきている。成長分野を後押しするような経済政策に期待したい」と述べた。

 県内の除染で出た土壌などを巡っては、県外最終処分に向けた具体策が急がれる。双葉町から避難し、いわき市の復興公営住宅で生活する本多タイ子さん(80)は「工程など明確な方針が示されず、このままでは子どもや孫の将来に不安が残る。具体的な施策を早く打ち出してほしい」と訴えた。

 政策を前進させるには政治とカネ問題の解決が不可欠だ。会津若松市の会社員渡部勇(いさお)さん(43)は「裏金問題があった派閥から衆院選の候補者を立てるかどうかに注目したい」と語った。

 最速解散に賛否

 石破首相が就任から最速で衆院解散に踏み切ることを巡っては、県民から賛否両論が上がった。

 首相は自民党総裁選で、解散前に予算委員会での論戦を通じて国民に新政権への判断材料を示す意向を明言していた。郡山市の保育士高橋那月さん(21)は「予算委などで首相や党の考えを知ってから投票先を決めたいと思っていたので、最初に言った通りの流れにしてほしかった」と方針転換に戸惑いの表情を見せた。

 喜多方市の会社役員石川邦明さん(44)は「確かに現在は国民が新政権の政策を判断できる材料が十分に整っているとはいえない。しかし、派閥の裏金問題を引きずる中で国民に信を問うという意味では、早めの解散でも問題はないのではないか」と理解を示した。

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