• X
  • facebook
  • line

除染土最終処分、再生利用の基準案了承 年度内に省令、手引作成

10/04 08:10

 東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た土壌を巡り、環境省は3日、県内、県外で設けた二つの有識者検討会の合同会議を東京都内で開き、最終処分と再生利用の基準案について了承を得た。パブリックコメント(意見公募)を経て年度内に基準省令を定め、再生利用の留意点をまとめた技術ガイドライン(手引)を作成する。ほぼ白紙となっている2025年度以降の方針は、年明けをめどに具体化させる考えも示した。

 県内で生じた除去土壌は中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)で、県外の土壌は発生した市町村内でそれぞれ保管されている。国は県内外二つの検討会で対応を協議してきたが、最終処分と再生利用の基準は統一する。この日は、9月に作業部会が精査した基準案を諮った。

 基準案によると、最終処分場の地下水汚染防止策は基本的に不要とする。放射性セシウムが土壌に強く吸着するためで、溶け出す恐れがある場合に限り周囲に遮水工を設ける。県外3カ所で実施した埋め立て試験でも環境に影響しないことが確認された。除去土壌は別の土で覆うなどして飛散・流出を防ぐ。定期的に放射線量を測定する。

 再生利用は、十分に安全を確保するため1キロ当たり8千ベクレル以下の土壌を使う。災害で覆土が全て流れ出た状態が1年間続いたとしても、復旧作業者らの追加被ばく線量は基準値の1ミリシーベルト未満となる。低濃度土壌のみを使用するため、地下水汚染防止策は不要とした。

 除去土壌は県内外で計1333万立方メートルと膨大な量が保管されている。国は再生利用を全国で本格化し、最終処分量を減らす方針。

25年度以降の方針議論へ 環境省は同日、県内の有識者検討会も別途開催し、年明けにも25年度以降の具体的方針を示す考えを明らかにした。四つある作業部会で議論に入る。

 法制化された45年3月の県外最終処分完了まで残り約20年。県は具体的方針・工程の早期明示を求めており、将来を見通す材料が示されるかどうかが焦点だ。

 25年度以降は再生利用先の拡大や最終処分場の選定など難題が多い。同省は除去土壌の認知度向上が不可欠として、第1原発の処理水海洋放出に至る経過を参考に、全国規模の広報施策を検討すると説明した。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line