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芸術部門に遠藤徳さん、体育部門は加藤出さん受賞 県文化功労賞

10/04 08:25

遠藤 徳さん(本宮市)
加藤 出さん(川俣町)

 県は、本県文化の向上に大きく貢献した県民をたたえる県文化功労賞に、芸術部門美術分野から本宮美術協会顧問の遠藤徳(のぼる)さん(88)=本宮市=と、体育部門スポーツ分野から国際弓道連盟会長で全日本弓道連盟会長の加藤出(いずる)さん(75)=川俣町=を選んだ。県が発表した。

 遠藤さんは、日本美術展覧会で特選を2回受賞、日本彫刻会展覧会で日彫賞を受賞している。本宮美術協会の設立に参画し、本宮市の美術の発展に貢献。県総合美術展覧会などの出品者研修の講師などを務め、後継者の育成にも尽力する。

 加藤さんは、全日本弓道選手権大会の県代表選手として24回の出場実績があり、1981年には優勝し、天皇杯を受けた。本県の弓道競技の技術向上や普及などにも尽力した。国内外でも講習を行うなど弓道の発展に貢献している。

 表彰式は11月3日、福島市の杉妻会館で行われる。

 本宮・遠藤さん、被災者寄り添う彫刻

 「受賞は名誉なこと。家族や彫刻に出合わせてくれた師匠、仲間の支えがあって今日がある」と感謝する。

 本宮一中の美術教諭時代、同僚で元日展会員の神野忠和さんの彫刻作品に感銘を受けた。26歳で彫刻の世界に足を踏み入れ、神野さんから彫刻の基礎を学んだ。

 作家人生の転換期は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故だ。避難する被災者に寄り添いたいと、ふるさとを題材にした作品作りに没頭した。「ふるさとの大切さや愛着を考えるきっかけになった」と語る。

県彫刻会の研修会で後進の育成に取り組むが、作品制作の熱は変わらない。現在、11月の日展に向け作品を制作中だ。「生涯を懸けてふるさとのさまざまな思いを表現したい」と話す。

 川俣・加藤さん、向上心抱き弓道人生

 「ただひたすら弓が好きだという思いで今日まで来られた。名誉ある賞をいただけて光栄であり、驚きが大きい」と謙遜する。

 弓には福島商高入学時に初めて触れた。陸上が得意だったが、弓道部の勧誘に興味を抱き入部。以降は60年にわたって弓の道を突き進む。「この年になっても難しいと感じる。それが良さ」と今もなお向上心をのぞかせる。

 欲を捨て、背筋を整えて集中力を高め、的を射る―。さまざまな要職を歴任する中、技術と精神力を鍛える大切さや魅力を後継者に説いてきた。

 今後は県内外や国を問わず弓を教えたいという。「全く新しい無垢(むく)な子たちに弓の良さを伝え、死ぬまで弓を引きたい」。生涯、弓道人生を貫くつもりだ。

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