東京電力福島第1原発事故後に県内の除染で出た土壌と廃棄物を巡り、環境省は5日、全国的な理解醸成に向け、若者や自治体、メディアなどに重点を置く考えを明らかにした。2045年3月の県外最終処分実現に向け、10年程度の区切りで理解醸成の検討対象期間を定めることも提案した。
全国的な理解醸成に関する有識者検討会を東京都内で開き、方針案を示した。理解醸成の対象は「全国民・国際社会」を基本とし、当面は認知度の低い若年層や自治体、メディア、教育機関のほか、交流サイト(SNS)を通じて影響力を持つインフルエンサーを中心に据える。進展を踏まえ、対象は改めて検討する。
政府が昨年12月に実施した全国意識調査では、県外最終処分が法制化されている事実を「知っている」と答えた県民は54.8%、県外在住者は24.6%にとどまる。同省は3月から20~30人が参加する対話型の理解醸成活動を試行しており、内容を精査する。併せて、全国規模の広報戦略も具体化させる。
中間貯蔵施設内回るバスツアー11月開始
環境省はまた、県民が中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)内を回るバスツアーを今月開始する方針を示した。一般県民を対象とした同省の募集型ツアーは初めて。福島、会津若松、いわきの各市を出発する。公式ウェブサイトで募集し、初回はほぼ満員という。