「『10メートル以上飛ばすな』がうちの標語。(打球を)上げたらだめと言い続けてきた」。斎藤智也監督は低反発バット導入を受け、打撃に対する意識を選手にこう植え付けてきた。主将佐藤羅天(らま)(3年)は「打撃が弱いと言われてきたからなおさら、聖光の原点に戻るような野球をする必要があった」と語る。甲子園でも小技や足を絡めて相手を揺さぶり、ここぞの1本で得点できるかが勝利の鍵を握りそうだ。
今大会は犠打や盗塁を絡めた攻撃が光った。精度の高いバントができる選手や俊足の選手が多く、全5試合で27犠打飛、10盗塁を決めた。3番菊地政善(2年)ら中軸が高打率をマーク。昨秋から公式戦での本塁打はゼロだが、つながりある打線が際だった。
投手陣は高野結羽(3年)と古宇田烈(同)の両本格派右腕が軸。高野は準々決勝のいわき湯本戦こそ精細を欠いたが、決勝では会心の投球。古宇田は闘志むき出しの投球が魅力で、準決勝で直球の自己最速145キロをたたき出した。「夏を経て武器が宿った」と指揮官。昨夏、甲子園のマウンドを経験した高野をはじめ、投手陣は特長を生かしながら、力を最大限発揮することが求められる。
30日、ナインは甲子園に向けて本格的な練習を再開した。「先輩たちに良い景色を見せてもらったので後輩にも同じことをしてあげたい」と佐藤。選手全員が一丸となって「日本一」へ歩みを進める。
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この連載は熊田紗妃が担当しました。