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【3閣僚に聞く】環境相・浅尾氏、復興相・伊藤氏、経産相・武藤氏

10/03 08:25

浅尾慶一郎環境相
伊藤忠彦復興相
武藤容治経産相

 石破内閣で初入閣した武藤容治経済産業相、伊藤忠彦復興相、浅尾慶一郎環境相は2日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの本県復興を含む職務に本格着手した。武藤氏は福島民友新聞社などのインタビューに応じ「福島第1原発の廃炉を着実に前に進める」と強調した。就任会見で伊藤氏は「被災地の復興に全力を尽くす」、浅尾氏は除染土壌の再生利用の進展に向け「国民理解を深める」と決意を示した。

 除染土、県外理解深める 環境相・浅尾慶一郎氏

 ―本県復興へ抱負を。
 「石破茂首相からは東日本大震災からの復興・再生に向けた取り組みを着実に実施するよう指示があった。環境の再生こそが住民のなりわい再建の基礎となる。除染や廃棄物処理、除染土壌の再利用や最終処分にしっかりと取り組む」

 ―除染土壌の再生利用は住民の反発などで進展していない。状況打開にどう取り組むか。
 「再生利用による処分量の低減が最終処分実現の鍵を握る。県外で理解を深められるよう努力する。一般住民向けの中間貯蔵施設の視察会やSNS(交流サイト)で再生利用の必要性や安全性を発信する取り組みを今後も展開する。関係省庁と連携を強化し、政府として再生利用先の創出に責任を持って取り組む。除染土壌を2045年3月までに県外に搬出するとの約束を実現する」

 ―政府は将来的に帰還困難区域全域の避難指示を解除する方針を掲げている。実現に向けた決意を。
 「帰還困難区域内に設定した特定帰還居住区域などで除染や家屋の解体を着実に進めてきた。この取り組みをしっかりと継続する。故郷に戻りたいという意向のある住民が2020年代に帰還できるよう地域に寄り添う。将来的に帰還困難区域全てを避難指示解除するという方針に基づき、政府全体で全力で取り組む」

 ―福島第1原発で発生する処理水の海洋放出の海域モニタリング(監視)を含め、安全性の発信にどう取り組むか。
 「これまで人や環境に影響がないことを確認している。引き続き、客観性や透明性、信頼性の高い海域モニタリングを徹底する。原子力規制委員会や水産庁など関係機関が実施した結果を含め、国内外に分かりやすく発信することで風評被害対策に貢献していく」

 全域避難解除を目指す 復興相・伊藤忠彦氏

 ―来年度で第2期復興・創生期間が終了する。その後の復興財源の確保に向けた決意を。
 「期間終了後の次の5年間で復興を進めるために必要な政策を検討する。財源については政府への第13次与党提言で十分な財源を確保するよう文言が盛り込まれている。提言も踏まえ、復興事業に支障を来さないよう財務当局としっかりと調整する」

 ―原発事故で避難指示が出た地域では住民の帰還が思うように進んでいない。状況打開に向けた考えは。
 「将来的に帰還困難区域全てを避難指示解除するとの決意に揺らぎはない。まずは2020年代に帰還意向のある住民全員が帰還できるよう、特定帰還居住区域の除染やインフラ整備などの取り組みを進める。帰還意向のない住民の土地や家屋の扱いは重要な課題で、地元自治体と協議を重ねながら検討していく」

 ―除染で出た土壌の再生利用は、所管する環境省だけで進展させるのは困難との指摘もある。復興庁は進展にどう関わるのか。
 「2045年3月までの県外最終処分は法律に定められた国の責務だ。実現に向けては再生利用の推進が重要。再生利用先の創出に向け、科学的な知見を踏まえ、必要性や安全性に関する情報発信を通じ国民の理解醸成につなげていく。復興庁も関係省庁と連携し対応する」

 ―福島国際研究教育機構(エフレイ)の研究開発拠点となる施設の整備促進にどう取り組むのか。
 「施設整備に向けては現在、用地取得を進めている。本年度に敷地造成や建物の設計に着手した。できる限り早期に造成工事に着手する。一部の建築工事については先行着手するなど可能な限り前倒しし、(施設の姿が)住民の目に入るよう努力する」

 デブリ取り出し、着実に 経産相・武藤容治氏

 ―政府の原子力災害現地対策本部長と経済産業副大臣を務め、本県復興に尽力した。改めて復興への決意を。
 「福島第1原発の廃炉作業は長く続く。福島の皆さんと再び交流を深め、さらに信頼関係を築きながら最重要課題の復興に取り組む。復興は道半ばで、これからが正念場だ。(経済産業相として)早く福島を訪れ、現状を把握したい。なりわいの再生にも全力で取り組む」

 ―第1原発2号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しが難航している。廃炉をどう進めるか。
 「デブリ取り出しは世界で前例のない難易度の高い作業だが、一歩一歩着実に進めることが重要だ。国も前面に立って廃炉を前に進める。東京電力には、安全を最優先に高い緊張感を持ち続けるよう指導していく」

 ―処理水の海洋放出を受け、一部の国・地域は今も日本産水産物の輸入規制を続けている。規制撤廃に向けた取り組みは。
 「9回目の放出を行っているが、安全性は確認されている。一部の国・地域が輸入停止を継続しているが、規制の即時撤廃に取り組む。政府の全責任で処理水の処分完了に取り組むとの方針に変わりはなく、安全性の確保や風評対策、なりわいの継続支援に万全を期す」

 ―帰還困難区域の再生をどう進めるのか。
 「(原子力災害現地対策本部長時代に)何度も訪れたが、また帰還困難区域を視察し、地元の皆さんの思いを聞く。特定帰還居住区域の避難指示解除に向けた取り組みを速やかに行う。避難指示を解除した地域についても以前のような暮らしやすさや豊かさを実現するため、生活環境の整備やなりわい再建、新産業の創出に努める」

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